退かないと死ぬ

フィリピン・セブ。

今日は子供たちを迎えに学校へ向かっている途中、倉庫が燃えていた。

後ろから猛スピードで巨大な消防車が
外国車特有の「バーッ!バーッ!」という野太いクラクションを鳴らしまくりながら追い上げてくるさまは鬼気迫るものがある。

どかないと死ぬ。

フィリピンの迫り来る恐ろしい消防車はいくらたっても慣れる気がしない。
ドキドキしながら消防車を先に行かせたあと、追随するようにバイクのアクセルを開く。
向かった先に黒煙が立ちはだかる。

立ち往生するバイク達。

道路規制というものがあるわけでは無いが「こんなに台数必要か?!」と思うほどの消防車でバリケードのごとくうめつくされた道路は
実質通行止めで、水浸しで、作業員や野次馬がごった返し、すり抜けに1番と思えるほど優秀なわたしのバイクすら抜けられる気がせず
しかたなく近くにあった自信の無い道に回り道をしに行った。

回り道したらすんげー道だった。

はてしなくぼこぼこで、
立ち乗りしないと振動でびょんびょんはねるので、お尻が痛くなりそうな道をやっとこ進んだら、
現れたのは民家で、もう道路らしき道はない。


行き止まりかと思って民家の前で絶望したら、近所の人が
ここ通れるで。って親切に教えてくれた。
細い細いその道に車体を擦らないようにそっと侵入して、
バイク一台がぎり通れる獣道のような道を走って大通りに出た。

ちゃんと繋がっていたんだ。フィリピンの道すごい。

二度とあの路地に迷い込まないかもしれないが、
にこっ!とごきげんに道案内してくれた近所の人の笑顔を、わたしはずっと忘れないと思う。

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